ホーム

超小型の高温ホットエンドを提供します

従来のようなヒーターブロック全体を加熱する製品ではありません。フィラメントの流路をノズル直近で局所加熱する、そして、高精度な温度制御を実現する。新しいコンセプトにより生まれた、新しいタイプのホットエンドです。

● 世界最高クラスの加熱温度 500ºCを実現

● 業界をリードする超小型軽量ヒーター搭載

● ヒーター一体型センサーでリアルタイムな温度制御が可能

● ホットエンド取り付け部への熱放出ロスを抑えた新型断熱構造

用途

スーパーエンプラ、PEEK材の3D造形に成功

当社はスーパーエンプラに対応可能なFFF方式の3Dプリンタ用高温対応ホットエンドを開発した。

3Dプリンタ業界は一般のコンシューマーを巻き込んだ一時のブームが落ち着き、プロ用途の堅実な成長が期待されている。

FFF方式の3Dプリンタは簡易な構成ながらホットエンドの温度次第でスーパーエンジニアリングプラスチック(以下スーパーエンプラ)などの高温材が扱える。

スーパーエンプラとしては、PEEK、PEI (ULTEM)、Nylonなどと、炭素繊維などの樹脂物性を改良する添加物質を練り込んだものが注目を集めている。

そのなかでも、PEEKは耐熱性、耐薬品性、機械強度にすぐれておりスーパーエンプラの代表格となっている。航空宇宙、医療をはじめOA、半導体等に用いられているが、従来の射出成形や切削加工では、加工費が高いとの声が聞こえる。

3D造形は、射出成形に比べて高価な金型を用いる必要もなく、切削加工のように材料を無駄にすることなく、更に造形の際の充填率を変えることで、樹脂の使用量を低減してコストを下げることが可能となる。

当社では、開発した高温対応のホットエンドを、スーパーエンプラ非対応の市販プリンタに搭載することでPEEK材の造形に成功した。

製品

超小型、500ºC対応製品 HT-S500S

 

基本仕様

最大温度 500ºC
本体全長 39 mm
ノズル径 0.2/0.4/0.6/0.8 mm
フィラメント 1.75 mm対応
駆動電圧 24V (or 12V)
温度センサー 測温抵抗体 +1500ppm (or +3200ppm)

構造

当社のホットエンドの構造を以下の図に示す。

フィラメント流路は段のある円筒形状で、その下端はテーパー状に細く加工され、先端に樹脂射出用のノズルを備えている。ノズル上部は薄型セラミック加熱板2枚で平行に挟まれている。その上端部は断熱バレルが接続されており、取り付け側に熱を逃がさない構造になっている。

昇温特性

フィラメントを挿入していない状態での昇温特性を下図に示す。

評価したホットエンドのヒーター抵抗体は常温で24Ω 、駆動電圧24Vで24Wとなる。ヒーター抵抗体はプラスの温度係数1500ppmを持っており、温度上昇に伴って最大印加電力は低下して緩やかなカーブをとるため、オーバーシュートは少ない。

昇温温度 到達時間 最大電力
25ºC 0s 24.0W
200ºC 20s 19.0W
300ºC 40s 17.0W
400ºC 74s 15.4W
500ºC 160s 14.0W

消費電力

昇温後にその温度を保持するための消費電力を示す。

500ºCでも10W前後の値を示した。これは断熱バレルにより熱放出ロスを抑制し、高温状態のヒーター部の熱容量を小さくし、さらに金属カバーで囲うことで対流、熱放射を抑制した効果による。

断熱効果

独自形状による断熱バレル構造によりホットエンド取付部への熱放出ロスを抑制した。

熱分布の画像観察結果を示す。Sp3が断熱バレル。

断熱バレルの上下間(Sp1-Sp3)で熱勾配が大きくなっている。

 

技術

オリジナル加熱ヘッドの技術

当社では以下の構成の「オリジナル加熱ヘッド」の技術を保有している。

その構成は図1に示すようにひとつのセラミック基板上にヒーター抵抗体と測温抵抗体を近接して形成している。ヒーター抵抗体と測温抵抗体は正の温度係数を持ち、その値は+1500ppm/ºCである。

従来型のセラミックヒーターでは、別個体の温度センサーを組み合わせた構造であり、セラミックヒーターの温度が検知されるまでに時間を必要とする。

それに対して当社の「オリジナル加熱ヘッド」では、測温抵抗体がヒーター抵抗体と熱伝導性の高いセラミック基板上に隣接した一体構造で形成されている。これにより、即時の応答が可能となり、時間ロスのないリアルタイムで高精度な温度制御が可能となる。

図1

次に昇温前の画像(図2)と昇温時の画像(図3)を示す。

ここで示した例では赤熱状態までの加熱を行い、700ºCまでの昇温を達成している。

図2

図3

 

温度制御

温度測定の原理を図4を用いて以下に説明する。

図4

高精度の抵抗Rs2と測温抵抗体R2を直列につなぎ、その両端に基準電圧Vrefを印加する。R2は前述したように温度に比例して+1500ppm/ºCで変化する。その変化量を電圧V2として測定を行う。

温度制御はこの読み取った測温抵抗体の温度をヒーターの温度と見立て、所定の温度を維持するようにエネルギー制御を行う。

ヒーターの駆動電圧は24Vまたは12Vと定まっている。よって、エネルギー制御は時間軸によるPWM (Pulse Width Modulation)を採用している。比例制御で割り当てられたDutyによりフィードバックを行い、パルス幅を可変することで平均電流量を制御する。当社では、図5のような専用制御ボードを開発して製品の特性評価を行っている。

図5

今後の展開

マルチ・ヒーター、マルチ・センサー

ホットエンドは1ヒーター、1温度センサーが理想的な内部温度分布(均一)を実現しているとは必ずしも言えない。射出速度によっても温度分布の変動が予測される。想定される望ましい温度分布を下図に示す。

まずフィラメントの導入部はフィラメントの熱変形を防ぐためにTg(ガラス転移点)以下の温度が望ましい。樹脂の溶融部では粘度が下がり、流動の抵抗が低いことが望ましい。ノズル部では造形品質を保ちながら層間の結合力を保つ温度に設定する必要がある。

当社のホットエンドは複数のヒーターと測温抵抗体を搭載することも可能であり、2ヒーター、3温度センサーを搭載した構造を試作している。

断熱バレルによりフィラメント流路から上への伝熱を抑制し、導入部でのフィラメント樹脂の軟化を防止する。加熱板の面上では複数のヒーターと測温抵抗体を用いることで高速な造形が必要が場合でも個別にヒーターを駆動制御できる。上部での温度低下を抑制し、流路内上部の粘度上昇、流路抵抗の増大、フィラメント送り不良を防止することができる。また、ノズル近傍でのフィラメント流動性を制御できれば、過度の樹脂流動で造形形状を損ねることなく、層間の結合力も確保することができる。

結果として、高速高温造形においても安定した形状と強度の高い造形物が得られると考えられる。

 

マルチ・ノズル